金平糖のような甘い甘い恋
 周りは暗闇で覆われて、
その、暗闇に点々と今にも消えそうな星が
あたしの目に映った。


 ―ヒュ~...ドン!―


 その時、暗闇に花火が舞い上がった。
 そして、儚く消えていった。


 「きれい」


 そうきれいだった。
 きれいしか言えなかった。

 いつものように見てきた景色が
こんなにもきれいで、
花火が舞い上がったことで
また一段ときれいに見える。

 それは、空のアートだった。

 暗闇に一輪の花が咲き、
その花は儚く消える。

 人が作り出したアートとは
思えないくらいだった。

 あたしは隣を見た。

 裕輔先輩の横顔は、どんどん舞い上がる
花火に照らされていた。
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