籠鳥~溺愛~
「美冬ちゃん、着替えないと一生この部屋から出してあげないよ」
扉の向こうから、鏡哉の脅迫が聞こえる。
どうやら扉の向こうから、鏡哉がドアノブを開かないよう握っているようだ。
「き、鏡哉さん、ずるいっ!」
「ほら、早く着替えないと、入っちゃうよ」
「わあ、ダメですったら!」
美冬はあわててセーラー服を脱ぎ去り、白いワンピースに袖を通す。
(す、すごい肌触り)
シルクらしいそれは、肌に吸い付くように気持ちいい。
ちょっと感激してしまった美冬は、鏡に自分を映し見入ってしまった。
コンコン。
「お嬢様、入りますよ」
「は、はい」
先ほどの店員が中に入ってきて、ファスナーを上げてくれた。
「ガーターストッキングをお付けになり、この靴をお履きになって外においでください」
「はあ……」
美冬はあきらめて言われた通りに履いて外へ出た。
白い華奢なヒールのパンプスは少し歩きにくい。
少し離れたソファーでコーヒーを飲んでいたらしい鏡哉が、長い脚を組み替えてこちらをじっと見つめていた。
「いいね、やはり美冬ちゃんには白が似合う」
そう満足そうに微笑まれ、美冬はこそばゆくなって鏡哉から視線を逸らす。
先ほどの店員に手を取られ、近くのスツールに腰を下ろされる。
なぜか長い髪の毛をブラッシングされ、白いリボンのついたカチューシャをされた。
「完璧だ。カメラ持ってくれば良かった」
いつの間にか傍に立っていた鏡哉がそうつぶやく。
その言葉に店員たちがクスクスと笑い、美冬は顔が火照る。
「鏡哉さん、着せ替えごっこがしたかったんですか?」
「うん。じゃあこのまま行くよ」
(はあ、この人に抵抗しても無理とは分かっているんだけど)
「……なんかよく分かりませんが、今日だけですよ?」
鏡哉の気まぐれに今日一日付き合えば、もう自分に不相応な服の贈り物もやめてくれるだろうと、美冬はあきらめて立ち上がる。
鏡哉はいつの間にかお会計を済ませていたらしく、包んでもらった制服を手に、ブティックを後にした。
履きなれないヒールのためどうしても歩くスピードがゆっくりになってしまう美冬に、鏡哉は付き合ってゆっくり歩いてくれる。
横断歩道を渡ってしばらくすると、一軒の白亜の邸宅が目に飛び込んでくる。
すっかり日が落ちた今、ほんのりとライトアップされた邸宅は、水色のようにも見えた。
鏡哉は迷いもなくすたすたとその邸宅に近づいた。
(え、鏡哉さん、もしかして――)
扉の向こうから、鏡哉の脅迫が聞こえる。
どうやら扉の向こうから、鏡哉がドアノブを開かないよう握っているようだ。
「き、鏡哉さん、ずるいっ!」
「ほら、早く着替えないと、入っちゃうよ」
「わあ、ダメですったら!」
美冬はあわててセーラー服を脱ぎ去り、白いワンピースに袖を通す。
(す、すごい肌触り)
シルクらしいそれは、肌に吸い付くように気持ちいい。
ちょっと感激してしまった美冬は、鏡に自分を映し見入ってしまった。
コンコン。
「お嬢様、入りますよ」
「は、はい」
先ほどの店員が中に入ってきて、ファスナーを上げてくれた。
「ガーターストッキングをお付けになり、この靴をお履きになって外においでください」
「はあ……」
美冬はあきらめて言われた通りに履いて外へ出た。
白い華奢なヒールのパンプスは少し歩きにくい。
少し離れたソファーでコーヒーを飲んでいたらしい鏡哉が、長い脚を組み替えてこちらをじっと見つめていた。
「いいね、やはり美冬ちゃんには白が似合う」
そう満足そうに微笑まれ、美冬はこそばゆくなって鏡哉から視線を逸らす。
先ほどの店員に手を取られ、近くのスツールに腰を下ろされる。
なぜか長い髪の毛をブラッシングされ、白いリボンのついたカチューシャをされた。
「完璧だ。カメラ持ってくれば良かった」
いつの間にか傍に立っていた鏡哉がそうつぶやく。
その言葉に店員たちがクスクスと笑い、美冬は顔が火照る。
「鏡哉さん、着せ替えごっこがしたかったんですか?」
「うん。じゃあこのまま行くよ」
(はあ、この人に抵抗しても無理とは分かっているんだけど)
「……なんかよく分かりませんが、今日だけですよ?」
鏡哉の気まぐれに今日一日付き合えば、もう自分に不相応な服の贈り物もやめてくれるだろうと、美冬はあきらめて立ち上がる。
鏡哉はいつの間にかお会計を済ませていたらしく、包んでもらった制服を手に、ブティックを後にした。
履きなれないヒールのためどうしても歩くスピードがゆっくりになってしまう美冬に、鏡哉は付き合ってゆっくり歩いてくれる。
横断歩道を渡ってしばらくすると、一軒の白亜の邸宅が目に飛び込んでくる。
すっかり日が落ちた今、ほんのりとライトアップされた邸宅は、水色のようにも見えた。
鏡哉は迷いもなくすたすたとその邸宅に近づいた。
(え、鏡哉さん、もしかして――)