七夕☆Angel
肩を抱かれたまま、見知らぬ男と歩いた。

私は、どこかぎこちなかった。

私の肩の、見知らぬ男の手が、妙に心地よかった。

二人は何も話さずに歩いた。

メガネの似合う、優しい顔の男。

明らかに私よりは年上だと分かる。

『この人、何なんだろう…?』

そう思って、もう一度しっかり顔を見ようとした時、男の口が開いた。

「この辺でいい?もう一人で大丈夫?」

この先の角を曲がれば私の家…という程、家のすぐ近くまで一緒に歩いていた。

しかも肩を抱かれたまま…

「あ、はい。大丈夫です。え〜っと…あの〜…」

『どうしよう。何か言った方がいいかな…お礼とか…』

言葉が見つからなかった。
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