魔界のお姫様。ー3人の悪魔たちー
アタシはラウルの前に向かおうとしたとき…


ラウルがスッと立ち上がった。


「ベーモンド様…」


ラウル!?

いつもよりラウルの声が弱々しい…


「どうした?ラウル…」


ラウルは一呼吸したあと静かに口を開いた。


「婿候補を辞退します…」

!!!!!


この大広間にいる全員が目を見開いた。


「それはどうしてだ!?
ラウルは自ら立候補しただろ!?」


パパの大きな声が響く…


ラウルを見てもラウルはうつむいていた…


「もう決めたんです。
自分は姫にはふさわしくない…」


何で…何で勝手に決めちゃうの…


契約だってしたのに…


大広間に沈黙が流れた。


…………。

……………。


その沈黙をやぶったのはエルムだった。

「本人が決めたんだから、いいんじゃねーの?」


「エルム黙れ。」

セルが止めてもエルムは喋り続けた。


「結局アンタの気持ちはそんなもんだったんだな。」

「何だと?」

ラウルがエルムを睨み付ける。


「だってそうだろ。
簡単に諦められるほどの気持ちだったんだよ。
あ、もしかしてあれか?
鈍感な姫をからかってたんじゃねーの?」


「そんなことあるわけないだろ!」


「じゃあ何でだよ…」


「それは…ルウナを苦しめたくないから。
俺がいてもまたルウナを悲しませちゃうんだ。」


何よ…それ。



「そんなことない!
ラウルはいっつも強引なのよ!どうしてこんなときまで勝手に決めるのよ!」


アタシは思わず叫んでいた。


「パパ!アタシはラウルを選ぶわ。ラウルじゃなきゃいや。だって愛してるのはラウルだもの。ラウル!アタシから離れるなんて許さないから!!」



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