ウィルルケビン☆ロリンソン
「…事件だな。」
私は小さく呟いた
無論、穂積には聞こえるように。
本当に事件だと思ってるわけじゃない。
ただ私は穂積がこの“事件”という言葉の響きに大層弱いことを知っていた。
そうでなければ、趣味で【YS探偵事務所(仮)兼便利屋】なんて開かないだろう。
ここは本当は学生である私たちの小遣い稼ぎの為のただの便利屋
しかし共同経営者となった穂積の熱烈なお願いのおかげで、名前のみ探偵事務所となっている
(仮)がついているのはそのせいだ。
将来の夢は『探偵事務所をたてて、迷宮入り事件とかをバンバン解決する』らしい
漫画の読みすぎだろう
そして、穂積は私の予想通り、倒れ込んでいたソファーから勢いよく起き上がった。
「事件!?」
なんだそんなに目をキラキラさせて
バカな犬ほどかわいいとはこの事か
ソファーに膝立ちになる穂積から、本当にブンブンと振られている尻尾が見えた気がした