Le jour du lis de la vallée(スズランの日)
『ところで、絵里子。このあと時間あるか?』
「あるわよ。全部空きました!!」
私は勢いよくベットから立ち上がると、きれいにまとめた髪をほどいた。
『だったら、さっき撮影をしたレストランに来てくれないか』
「おごりならいってあげる」
『さあな。とにかく来い。待ってるから』
いつになく、強気な佐々木に少しだけいらっとしながらも私はもう一度髪を纏め上げた。
タクシーでお店に着くと、お店には電気はついているもののお客さんは一人もいなかった。
お店のドアは開いていたので、私はそっと顔をのぞかせた。
すると、ちょうど2階の階段から佐々木が降りてくる。
「無事着いたか」
あれ?なんか違和感。
佐々木は何気なく私の手をとると、2階へと促した。
「ちょ、ちょっと手!!」
なんで、私があんたと手をつながなきゃいけないのよ
振り払おうとしたけど、反対にぎゅっと強く握られてしまう。
「今日は黙って話を聞いてくれ」
佐々木は振り返らずにそう言うと、さっき私が撮影で座っていた席に案内した。
その席は撮影のときと違って、すずらんの花が飾られていた。