Le jour du lis de la vallée(スズランの日)
「・・・乾杯」

カチンと気持ちいい音が響いて、グラスを傾けるととてもいい香りがする。

「・・・おいし」

「そりゃ、三ツ星レストランのソムリエが選んでるからな」

「・・・・そういえば、お客さんいないね。今日はお休みだったから借りれたんだね」

私がお店の中を見回していると、佐々木はグラスを揺らしながらクスリと笑った。



・・・こいつ、こんな顔して笑うんだ・・・


見たことのないような柔らかい表情に私は思わず釘付けになった。

だって、こんなふうに向かい合って座ったりしたことなかったんだもの。

しばらくそうして見つめていると、順々にお料理が運ばれてくる。

味はもちろん、見た目もきれいで私はすっかり上機嫌になってワインをおかわりした。

食事中は佐々木も黙って食べてたし、私は思い切り三ツ星レストランの味を堪能した。
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