Le jour du lis de la vallée(スズランの日)
こんな私でも全部受け止めてくれる人・・・
そう思ったら、なんだか申し訳なく思えてくる。
「・・・出ようか」
佐々木は私の手を離すとすっと手をあげ、ボーイに勘定を頼んだ。
「・・・え?ってことはもしかして、このためにお店・・・」
席を立つと、佐々木が再び私の手を握った。
「・・・そ。マネージャーに話したら、協力してくれるって言ってね」
いたずらっぽく笑った佐々木はもう今までのダサい佐々木じゃなくて私は思わずどきっとする。
なんだかよくわからないまま手をつながれたままタクシーに乗り込む。
夜のライトが車の中を照らしては消える。
「絵里子」
ホテルに着く直前、黙っていた佐々木が不意に私を呼んだ。
なに?って言おうとした唇が優しくふさがれる。
なんだか頭がついていけなくて、クラクラしてしまう。
こんなにドキドキするなんて何年ぶりだろう。