Le jour du lis de la vallée(スズランの日)
「・・・俺のこと知ったら、もう後戻りできないぞ」

こつんとおでこをあてられて、なんだか照れてしまう。

キスくらいでこんな恥ずかしいなんて、どうしちゃったんだろう、私・・・

私は頬を赤く染めたまま小さくうなづいた。






ホテルに到着すると、私たちはいつも通りマネージャーとタレントの顔をして部屋に入った。

でも、私が入った部屋は佐々木の部屋。

そして、今は佐々木の腕の中。

「・・・・安心した」

佐々木は後ろから私を抱きしめたまま、大きくため息を吐いた。

「え?」

「・・・ここまでオオゴトにして、フラれたら馬鹿だろ、俺」

まわされた腕に触れている私の指にはダイヤの指輪。

「・・・・フラれたらどうするつもりだったの?」

「さあな」

佐々木は柔らかく微笑むと私の体を抱き寄せて、再び唇を重ねてくる。
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