Le jour du lis de la vallée(スズランの日)
「佐々木・・・」
甘えるようにキスをねだる。
でも、唇が重なる寸前に体を引かれてしまった。
「?」
不思議に思っていると、佐々木は怒ったように頬を膨らませた。
「・・・名前」
「え?」
「結婚しても苗字で呼ぶつもりか?」
「・・・あ」
いきなり、現実が目の前に突きつけられたように心臓が跳ね上がる。
「・・・た、高裕・・・さん?」
なんだか、今日の佐々木はやけに強気で男らしくて、いつも呼んでた名前じゃなければ恥ずかしくて呼び捨てになんてできない。
「ぷ・・・いつもの強気はどうした?」
「だ、だって・・・」
なんでだろ、いつもと立場が逆転してる。
「・・・ま、俺の腕の中ではかわいい猫でいてほしいけどね。一応俺も男だし?」
そういって、佐々木は私の背中から腰のラインに指を這わせた。
「んっ・・・」
もう一度すーっと背中をなぞると今度はワンピースのファスナーとともに下がってくる指先。
「・・・声、我慢すんなよ」
ファスナーが下までおろされると、ワンピースはゆっくりと床に落ちていった。