Le jour du lis de la vallée(スズランの日)
「今日は1日オフだけど、どうする?」

佐々木はゆっくりと乱れた私の髪を撫でた。

その優しい手つきにどうにもドキドキしてしまって、佐々木の顔を直視できない。

「・・・お、お買い物とか?」

なんだか照れくさくて、デートとは言えなかった。

「ふーん」

不満そうな佐々木の声に視線をあげると、目が合って「一人で?」と聞かれる。

「い、一緒に・・・」

やだ・・・

なんで、こんなに恥ずかしいんだろ・・・

いつもみたいに素直にわがまま言えばいいのに。

「・・・くくっ」

うつむいている私の頭の上で、佐々木が笑いをこらえている。

「・・・そんなに変わるんだ、お前」

「・・・なっ」

恥ずかしくて反論しようとしたら、そのまま抱き寄せられて唇をふさがれた。

あまりにもキスの角度が深くて、少し息苦しい。

「・・・・っはぁ」

ようやく唇が離されたら、思わずため息が漏れてしまう。

「・・・な、なに、急に・・・」

明るいところでそんなに激しくキスされたら、今まで意識してなかった分めちゃくちゃ恥ずかしい。
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