Two of us
「・・・よく、頑張ったね」

茜がぽつりとそうつぶやくと、再び涙が溢れる。

「・・・紘一郎さんが好き・・・大好き・・・」

あんなふうにでも一度抱かれてしまったら、ますます好きになってしまったみたいだ。

茜はなにも言わず私の背中をさすってくれていた。







私はそれから紘一郎さんと鉢合わせしないよう、いつもより早く起きて学校に行った。

学校に行ってしまえば、茜も媛香もいるし毎日楽しく過ごしてあんなことがあったなんて夢だったんじゃないかと思えるくらいになった。

ただ一つ変わったことがある。

あれから時々たまたま帰りが一緒になっていた一也が一緒に帰るようになったことだ。

一也は紘一郎さんとは似ていない。

紘一郎さんはお父さん似、一也はお母さん似で目がぱっちりしていて、実はちょっとしたファンクラブっぽいものがあるくらいだ。

よく告白の現場を目にしたことがある。
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