Two of us
「じゃ、行こうか」
お母さんの目の前で一也はあっさり手をつなぐ。
「あら、あらあら」
「ちょ、ちょっと一也!!」
手を引っ込めようとするとますます強く握られ離すことはできなかった。
「一日くらいいいだろ。夢くらい見させろよ」
「・・っ」
そう言われて忘れかけてたことを思い出す。
紘一郎さんの手を、唇を、体の重みを・・・
「ま、今日一日で落とすけどね」
「・・・っな!!」
落ちないもん!!
そう返したかったけど、顔をあげたら一也の目があまりにも優しく私を見つめていたから何も言えなくなってしまった。
「・・ほら、行こう」
走り出した一也に手をひかれて、私も一緒に走り出す。
まるで小さいころのように、二人はしゃぎながら・・・