Two of us
A.兄・紘一郎の場合
RRRRR・・・・

その時、どこからか電話が鳴り響く。

「一也の?」

「いや、俺じゃない」

私はバックの中を探り、自分の携帯を開いた。





ドクン!!!



大きく心臓が飛び上がる。


不在着信で表示されていたのは、『吉川紘一郎』という名前だった。


「・・・兄貴?」

不安そうな声に顔を上げると、今にも泣きそうな顔で一也が私を見つめていた。

「あ・・・」

私は携帯を持ったまま、一也を見つめて動けなかった。

そして、もう一度手の中の携帯が鳴り出した。

「キミカ!!」

後ろから私を呼ぶ声もする。

振り向かなくてもわかる。

紘一郎さんの声だ。

「紘一郎さ・・っ・・」


え?




走りだそうとした体はぐるりと反転して、私は一也の腕の中に閉じこめられる。

それと同時に深く口づけられた。
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