Two of us
私は濡れた前髪をそっと手でよけてあげる。

「・・・いいよ、一也」

「いや、だめだ。優しくするって決めてんだから」

そう言いながらも一也の腰はゆるゆると動く。

私のほうもその動きがむずがゆくて、おかしくなってしまいそうだった。

「痛かったらちゃんと言うから・・・」

そう言うと、一也は小さく唇にキスを落としてから私の両手をつなぐようにして握りなおした。

「・・・キミカ、好きだ。ずっとずっと小さいころから」

「・・・一也」

名前を呼ばれることに動きが激しく深くなっていく。

でもそれは決して自分勝手な動きではなく、ちゃんと私を気遣ってくれてる。

「キミカ」

吐息の混じる優しい声で名前を呼ばれるのはなんて愛しいことなんだろう。

呼ばれるたびに私も登りつめ、最後は一也と一緒に果てた。
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