Two of us
「彩香・・・」

お酒の匂いとともに、吐き出された名前。

「彩香・・・彩香・・・」

私が動けずにいると、紘一郎さんは私を強く抱き寄せた。

「・・・」

私は何も言えなかった。

あんなつらそうな顔見るくらいなら、今は黙ってお姉ちゃんのふりをしていたほうがいい。

膝の上に乗せられた私は、爆発しそうな心臓の音を感じながら、紘一郎さんの頬にかかった髪をそっと手でどけた。




泣いて・・・る・・・?



紘一郎さんの頬は涙でしっとり濡れていた。


紘一郎さんは翔太さんとは正反対のタイプで、翔太さんがどちらかというとスポーツマンタイプなんだけど紘一郎さんは落ち着いたタイプだった。


その紘一郎さんがこんなに酔っぱらって泣いているなんて・・・


私は思わず紘一郎さんの頭をそっと抱き寄せる。
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