Two of us
長年ずっと好きだったのに何も言わないまま失恋する紘一郎さんもバカだけど、ふられた紘一郎さんと同じ気持ちになってしまう私もバカだ。


でも、胸が痛い。



ぎゅっと抱きしめると、紘一郎さんの腕も強く私を抱きしめた。


「紘一郎さん、風邪ひいちゃうからおうち入ろう?」

肌寒くなってきたこの時期、さすが長くは外にいられない。

なんとか体を動かしてくれた紘一郎さんを支えながら、玄関に入る。

紘一郎さんの部屋は2階の一番奥の部屋だ。

おじさんおばさんはもう寝てしまったのか、玄関以外は明かりが消えていた。

弟の一也は最近アルバイトを始めてこの時間はまだ帰っていない。

妹の律子ちゃんは結婚してすでに家を出ていた。
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