Two of us
「お水、持ってこようか?」

他人の家で勝手をするのはどうかと思ったが、意識がほとんどない状態の紘一郎を見るのは初めてだったのでとても心配だった。

「・・・ここにいて」

立ち上がった私を紘一郎の手が引っ張る。

「・・・あっ」

酔っていて加減がわからなかったのか、わざとなのか、紘一郎の力が強すぎて私は紘一郎と一緒にベットに倒れ込んだ。

「こ、紘一郎さんっ」

驚いて体を離そうとするも、紘一郎の腕が体をしっかりおさえつけているから離れられない。

「彩香・・・好きだ」

紘一郎さんはうつろな目で私を見つめ、両手で私の頬を包む。



・・・あぁ・・・その言葉はちゃんと意識のある時に聞きたかったな・・・


私が見つめ返しても、紘一郎さんの目は私を見ていない。
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