空の彼方に
膝の上でもじもじしていると、彼方は私の耳に唇を当ててささやいた。

「もしかして・・・期待してる?」

その声があまりにえっちだったので、私は思わず体が震えた。

「し、してない!!全然してない!!」

まったくしてないと言えば嘘になるけど・・・

キスくらい、したい・・・

必死に否定をしていたのに、彼方は持っていた本を閉じてテーブルに置くとその手で私の胸を掴んだ。

「本当に?」

いじわるな瞳が私の顔を覗き込む。

そのままいじわるなことばかり言う唇は首筋に押し当てられる。

夕べつけられた赤い痕がずきずき痛む。

でもそれは決して嫌なものではなく、私の体の奥から夕べの感覚を呼び起こさせた。
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