空の彼方に
俺・大久保彼方はつい最近ようやく医師免許を取得し、インターンで行っていた地方病院から実家の病院に戻ってきた。

小さいころから何かとあとをついてきた蒼井桐子と楽しく過ごした思い出の場所だ。

俺たちは家が隣同士で、両親たちも仲が良く、小さいころからいつも一緒にいた。

「桐子ちゃんが大きくなったら、うちの彼方と結婚するのよ」

母さんが何かあるたびに桐子にそう言う。

俺の意見は無視だ。

俺は桐子が大好きだ。

でも、こんな一方的なのは嫌だ。

桐子は俺が守るんだから、俺のことちゃんと好きになってほしい。

大きくなるにつれ、その気持ちはだんだんと大きくなり、そのうちに俺は中学を受験することにした。

桐子の病気を治すため、大学までエスカレーター式であがれる国立中学に入学した。

全寮制で、風紀もものすごく厳しい学校だ。
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