空の彼方に
「・・・悪い・・・」

「・・・・」

安西は何も言わない。

ただ泣いていた。

このとき初めて、俺は心から悪い事をしたと思った。


インターンで地方に行く前日で良かったと思う。

俺は安西を傷つけていたが、自分の心すらも傷つけていた。

でもインターン研修が始まるとそれどころではなくなった。

俺は自ら急患の患者を診る部署への配属を希望していたからだ。

毎日毎日仕事して、帰って寝るだけの日々が続き、いつの間にか心は癒されていく。

そして、ようやく地元に帰れる日を迎えた。
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