空の彼方に
実家に帰ると、両親がお祝いをするんだと桐子や桐子の両親までも呼び寄せていた。

「おかえり、カナちゃん」

何年ぶりかに再会した桐子はすっかり女になっていて、小さいころの面影はあまりない。

でも笑うと目じりが下がるのは相変わらずだった。

・・・もう、大丈夫そうだ。

桐子のことはすっかり諦めがついたかのように思えた。


でも、その夜・・・



「彼方!桐子ちゃんが発作だって、見てあげて」

深夜2時過ぎ、母親にたたき起こされた。

ひさしぶりに自分の部屋から桐子の部屋の中を見る。

桐子は窓を開けて、一生懸命夜の冷たい空気を吸い込んでいた。
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