空の彼方に
「・・・カナちゃん・・・?」


「どうした?」

俺は再び桐子の枕元に寄り添った。

差し出された手を握ってやると、すでに体温は戻り温かい。

「・・・・会いたかったの・・・」

俺の手を強く握り返しながら、ぽろぽろと涙を零す桐子。

「・・・わかったから泣くな・・・」

「・・・もう、どこにも行かないで」

素直に心をぶつけてくる桐子に、忘れたはずの想いが蘇ってくる。

思わず強く抱きしめてしまいたい気持ちを抑え、俺はそっと握った指先に唇を当てた。
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