空の彼方に
「・・・あはは、もう岡田さんたら」

桐子のアトリエに顔を出そうとすると、アトリエの中からは楽しそうな笑い声がする。

俺は影からこっそりアトリエの中を覗く。

スーツを着た長身の男が桐子と笑いあってる。

俺の心臓は、どくんと鈍く響いた。

あの日のことが浮かんで、一気に血の気が引いた。



桐子は俺のものなのに・・・




それからは何度となく、アトリエを訪ねあいつが来ていないかを確かめた。



「桐子」

アトリエに顔を出せば、桐子は笑顔でテラスのガラス戸を開けてくれる。
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