空の彼方に
あいつのものでもないんだよな?

俺は先日アトリエで見かけた男のことを聞いた。

聞きながらも、その白い肌に赤い疵をつけていく。

顔をあげると、桐子と目があって、桐子が言った。

「編集担当さんだよ」

桐子が言った意味がしばらく理解できなくて、俺はじっと桐子を見つめていた。

すると、ふわっと桐子が微笑む。


その顔が可愛くて、愛しくて・・・

自分が嫉妬していたことに改めて恥ずかしくなる。

「とにかく、確かめさせてもらうからな」
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