君色
「じゃあ、行こうか」

会計を済ませ外に出ると、伊織さんの手が差し出される。

私はドキドキしながらその手を取って、伊織さんの隣を歩いた。

伊織さんの車に乗り込むと、静かに車は発車する。

「どこに行くんですか?」

「どこだと思う?」

含み笑いをする伊織さんの横顔を考えながら見つめていると、再び伊織さんがふっと笑った。

「すごく落ち着ける場所だよ。料理もうまいし」

「・・そうなんですか」

そうして、少しすると車はあるマンションの駐車場に入っていく。

「え?ここ?」

「そう、ここ。降りて」
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