君色
伊織さんは手馴れた手つきであっという間に料理を完成させた。

「どうぞ」

ふわっとしたクリームソースに半熟たまごが乗せられおいしそうに湯気を立てる。

「うわ、おいしそう・・・」

「召し上がれ」

私は「いただきます」と笑顔を返すと、フォークにパスタをまきつけて口に運んだ。

口に入れた瞬間にふんわりと広がるほのかな甘みと黒コショーの辛味がバランスよく口の中に広がった。

「おいしい!!」

「良かった」

カウンターにはもう一つのパスタが置かれ、伊織さんが私の隣に座った。
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