君色
「伊織さん・・・」

「・・ん・・・怖い?」

名前を呼んだことで怖いと思ったのか、伊織さんは唇を離して私の顔を見つめた。

「違うの・・・伊織さんのこと大好きだから、名前を呼びたかったの」

それからしばらく、私たちは名前を呼び合いながらキスを続けた。

「もう・・・怖くない?」

そう聞いてくれる伊織さんは本当に優しくて、本当はちょっともどかしかった。

小さくうなづく私に伊織さんが再び問いかける。

「・・・触っても・・・いい、か?」

私の腰の辺りに置かれた手がダボダボのTシャツの裾をつかむ。

私は少しだけ怖くなって、伊織さんのTシャツをぎゅっと握った。

伊織さんはゆっくりとその中に手を入れて、私の肌に自分の手をすべらせた。

その間も何度となくキスを交わす。
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