君色
3.奇跡があるならば
伊織さんと結婚して1年。

私たちにはまだ子どもがいなかった。

欲しくないわけじゃない。

むしろ欲しい。

でも、なかなかその兆候は訪れなかった。





「病院、行こうか・・・」

気を落としている私に、伊織さんが優しく声をかけてくれる。

「はい・・・」

今月は今日が最後のチャンス。

「伊織さん・・・」

私はベットの上で伊織さんの首筋に抱きついた。
< 64 / 81 >

この作品をシェア

pagetop