Primo Amore(初恋)
「・・・ん・・・っ・・・立石・・・さ・・・」

「・・・実夏って・・呼んで・・・ん・・・」

私はゴンドラの端に後ずさりしている慧くんの手をとって、自分の胸に重ねた。

「・・・ん!!・・・ふ・・・っ・・・」

慧くんの指先は触れまいと必死に逃げようとしている。

「・・・触って・・・」

気がつけば、そんな言葉を漏らしてしまう。

「・・・だ、だめだよ・・・」

慧くんはあわてて手をひっこめた。

気がつけば回りの風景はずいぶん低い高さになっていて、観覧車が一周し終わるのを告げている。

「じゃ・・・もう一回だけ・・・」

そう言って顔を近づけると、今度は慧くんから唇を重ねてくれた。

そっと触れるだけのキス。

なのに、心があったかくなる。

・・・どうしよう・・
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