Primo Amore(初恋)
「・・・やだ・・・」

帰らないで・・・

ここにいて・・・

ぎゅっとにぎりしめる腕に、慧くんが手を添えてそっと離した。

「俺だって、男なんだからね」

振り向いた顔は今までみたいに真っ赤だったけど、私を見つめる瞳は真剣だった。

「・・・わかってる・・・」

気がつけば冷たい床に押し倒されて、上から見つめられる。

「・・・慧くん・・・」

近づいてくる唇に目を閉じた。

でも、唇は触れてくれなかった。

そっと優しく額に当てられる唇が少しだけ震えてる。
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