Primo Amore(初恋)
「え?」

「俺、君のその笑顔を好きになったんだ」

そう言って慧くんはもう一度私の頬を撫でた。

「またね」

「うん、またね」

名残惜しげに唇が重なると、その唇は小さな音をたてて離れていく。

思わず追いかけてしまいそうになったけど、私はぐっとこらえて微笑んだ。

「・・・気をつけてね」

「うん」

私はアパートの階段を降りていく慧くんの後ろ姿を見えなくなるまで見送った。
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