ただ…
たぶんそのとき僕は近くにいた女に、「あの子誰?」と聞いたと思う。

その女は頬を染め、「たしか…“北山凛”だったと…」と答えた。

「ありがとう」と、いつもはあまり見せない微笑を見せ、その場を立ち去ると女特有の甲高い声が聞こえる。

「北山凛…」と呟くと、いつもはそのウザく、気持ち悪い声に何も感じなかった。
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