あたしと彼の恋愛事情
「見てたの!?」
「見てた」
振り向いた先では、佑真が黙々と、ダイニングテーブルを拭いていた。
「あ、あのね、あれは変な意味じゃなくて…」
―ガチャン!と、乱暴に食器を置いて、あたしは佑真の側へ駆け寄った。
「誤解しないで…」
こんな時に、ケンカなんて嫌よ。
すると、手を止めた佑真が、あたしを見て笑った。
「こんなに焦った陽菜って、初めて見たかも」
「え?」
「あの頃ですら、陽菜は焦る事なかったもんなぁ。オレに対して」