私と黒猫
はぁ、はぁ、

と、息を上げて電車に乗り込む。

とんだ厄日だ…。

呼吸を調えていると電車が動き出した。

いつもと同じ揺られながら見える外の風景。

私の降りる駅は乗った駅から3駅過ぎたところにある。

1つ目の駅で人が乗り込む。
2つ目の駅で人が降りる。

3つ目の駅に着く直前、喫茶店が見えた。新しくできた喫茶店ではない。昔からあるような…

気付かなかった。

早く帰りたいなんて気持ちはどこかに消えてしまっていて、着いたとたん直ぐに降りて改札を出た。

確か、あのビルの近くだったから、この駅から遠くないはずだ。

小さいときにかくれんぼで鬼になったとき、早く友達を見つけて驚かせてやろう、というようなわくわくした気持ちになった。

その気持ちと比例するように、歩くはやさも速くなる。

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