私と黒猫
じっと猫を見ていると、店主がやってきた。


「ミルクティーです」

「あ、どうも…」


甘い、いい香がする。
一口飲めばあたたかいのが喉を通って、胸の奥をじんわりと溶かしてくれるようだ。


「美味しい…」

「それは良かった」


私の呟きを聞いていた店主が、またにこりと返してきた。


「貴方みたいな若いお客さんは珍しいですね」


とミルクティーのような優しさで話しかけてきた。


「あ、電車からここが見えて…」

「そうなんですか、ゆっくりしていって下さい」

「はい、ありがとうございます」


そして店主は何度目だろう、またにこりとしてカウンターの方に戻っていった。

ゆっくりとミルクティーを飲んで、店の空気を感じる。
ゆっくりした時間が終わり、レジへ向かう。
会計を終えた後、「また来て下さいね」と優しい声が聞こえたので、頷いて店を出た。

まだ外は明るかった。

夕日に伸びる影を見て、帰らなきゃなと呟いた。

すると、ニャーと泣き声が聞こえた。後ろを振り返り、下を見るとさっき喫茶店で見ていた猫だった。

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