私と黒猫
第二章

私と不良少年


しばらく黒猫と遊んでいると、


「ミザリー?」


と、声が聞こえた。


「ニャー」


ミザリーと呼ばれた黒猫がその方向へ走っていく。
私は黒猫を視線で追いかけ、声の主を見上げる。
逆光で顔はよく見えないが、私と同じ学校の制服を着た男子生徒のようだった。

「あんた、東高?」


それが男子生徒から私にかけられた1番最初の言葉だった。

私は無言で頷くと、男子生徒が近寄ってきた。

私は鞄を持って立つ。

すると相手の顔がよく見えた。


無口な不良、とみんなが言っていた気がする…
名前は確か…


斎藤 進(すすむ)


無口な不良の不良、というのがよく分からないが、
噂ではタバコを吸って先生にいつも注意されてるとか、他校や地元のヤバい人たちとつるんでるとか…
まだあった気はするが、この際どうでもいい。

どうしてこの人がここに…っていうか私が居るほうがおかしいのか。
この人の家はここの近くなのだろうか?


「そのリボンの色だったら、俺とタメだな」


と、またいきなり話しかけられたものだから、驚いた私は挙動不審になっているに違いない。

というか、斎藤進って無口じゃないのか?

チラっと上を向くと目が合う。
そして咄嗟に、


「その黒猫の名前が、ミザリーなの?」


と、別に聞かなくても分かるような質問をしてしまった。
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