真実の永眠
19話 決意
新年を迎えた。
家族で初詣に行ったり、新年の挨拶が書かれたメールを送ったり送られたり、朝を迎えれば年賀状が届いていたり。
新年早々営業しているお店も多く、何だか昔に比べ、お正月の雰囲気を感じられなくなったかのように思うけれども、それなりに楽しんだし、美味しい物も食べた。
初夢は、憶えていない。
そんなお正月を迎えて、けれど一週間も経てば段々と普通の生活に戻ってくる。
けれど新年を迎えてまだ半月程だ。皆それぞれ何らかの抱負を抱き、気持ちを新たに前へと進んで行っているのだろう。
私は。
「はぁー……」
抱いた抱負はどこへやら……。
最早何度目になるのか定かではない程の溜息の数。冴えない表情に、冴えない頭。ベッドにうつ伏せになって、ただただ無気力にその身体を投げ出して、笑う事を忘れてしまったかのように見るも無残にその風貌は衰えていた。
「はぁー……」
晴れない、心。
特に何かあった訳ではないのに。強いて言うなら、疲れたのだ。
多忙な日々を送っているわけではない。考え過ぎて、悩み過ぎて、精神的に疲れてしまった。
優人とメールを始めて、もう七ヶ月になる。
仲良くなって来てはいるし、先月は電話もした。進展しているではないか、と周りには言われそうだけど、私は優人の気持ちが分からなかった。
冬休みが終わり、部活が忙しくなり、最近の優人は疲れてすぐに寝てしまう。
全国大会への出場を果たせるか否かの試合が来月行われるらしいから、最近は特に厳しい練習や日程が組まれているのだろう。
分かってはいる、分かってはいるのだけれど……。
話せる時間もメールの回数も確実に減った今の現状に、不安になって落ち込んでいるのだ。
そんな不安の所為なのか実際にそうなのかは分からないけれど、優人のメールも何だか素っ気なく感じてしまう。それが寂しくて切なくて、どうしたらいいのか分からず、こうして悩んでいる。
――行く人いないから。
脳裏に蘇る、優人の言葉。
そんな事を言っておいて、それからの素っ気ないメールは何なのだ。分からない。優人が、分からない。
この先どうしたらいいのだろう。どう頑張ったら届くのだろう。その前に、好きで居続けてもいいのだろうか。このまま想い続けて、いつか叶うのだろうか。
「はぁー……」
溜息をついて、両腕を枕の上で交差して組み、その上に顔を埋めた。
優人が好きなのに、ずっと好きでいたいのに、不安が消せない。
優人は何を考えているのだろう。その心に何を、誰を見ているのだろう。そして自分は、彼にとってどんな存在なのだろう。ただのメル友なんだろうか、ただの話し相手なのだろうか……。
優人からメールが来た事は、未だに一度もない。それが優人の答えだと、もう示されているのでは……ないだろうか。好きになってくれているのなら、少しくらい自分からメールを出そうと思うのでは? 好きなら話したいと思うのが普通だろう。
何を基準に「普通」と言うのか、それは分からないけれども、それすらしないという事は……、
「……好きじゃない、のかな……」
――――いっその事。
メールを、止めてしまおうか。そうすれば、私達の繋がりはなくなって、自然に関係は切れるのだ。
涙が、零れた。
そんな事、出来るわけないのに。そんな事して平気でいられる程に、簡単に忘れられる程に、この想いは単純で薄っぺらなものではないのに。
こんなにも、好きになってしまっているのに。
……どうして優人がいいのだろう。どうしてこんなに好きになってしまったのだろう。優人が分からない。けれど、自分自身すら分からない。
好きなのに、大好きなのに。
好きな気持ちなんてなくなってしまった方がいい、なんて思ってしまう。
無理なのに、大好きなのに。
けれどこれ以上、もうどうしようもないくらいに気持ちが溢れて、辛い想いをするなら、今この時点で終わってしまった方が楽なのではないだろうか。
「……」
私は伏せていた身体を起こし、ポロポロと流れる涙を袖で拭った。
――――でも。
脳裏に浮かぶ、優人の笑顔。微笑んでくれた、優しい声。
忘れられるわけがない。この想いを終わらせる事など出来るわけがない。
優人が好きだ。誰よりも何よりも。優人しか要らない。
辛いから忘れよう、うんそうしよう、なんて言って出来る事ではない事を自分が一番知っているのではないか。自分の気持ちは自分が一番よく分かっている。自分の事を自分で分かってあげなければ、誰がこの気持ちを分かってくれるだろう――。
自分自身すら分からない者に、他人の心など分からない。だから、自分自身を知って初めて、他人の心が見えてくるのだ。
自分の気持ちくらい、きちんと聞いてやろう。素直な感情を、たとえそれが矛盾していたって。全部全部、聞いてやろう、受け止めてやろう、受け入れてやろう。
そうすれば、他人の心も見える、そんな風に思えてくる筈だ。
優人の気持ちを知りたければ、まず、自分の気持ちに敏感にならないと。
辛くて悲しくて不安になるのは、好きな証。
私はまだ。
――――頑張れる。
これから先に何があるのかなんて誰にも分からない。想い続けていても叶わないかも知れないけれど、もしかしたら叶うかも知れない。それは誰にも分からない事なのだから。
可能性は、ゼロじゃない。
それならこの道を真っ直ぐに歩いて行くだけだ。確かな想いがあるなら、ただひたすらに歩くだけ。迷う事など、何もない。
優人が。
――――好きだ。
涙を拭って、心の中ではっきりと告げた。
確かな想いを感じるのなら、迷う事など、何もない。
ただひたすらに、歩いて行くだけ。
家族で初詣に行ったり、新年の挨拶が書かれたメールを送ったり送られたり、朝を迎えれば年賀状が届いていたり。
新年早々営業しているお店も多く、何だか昔に比べ、お正月の雰囲気を感じられなくなったかのように思うけれども、それなりに楽しんだし、美味しい物も食べた。
初夢は、憶えていない。
そんなお正月を迎えて、けれど一週間も経てば段々と普通の生活に戻ってくる。
けれど新年を迎えてまだ半月程だ。皆それぞれ何らかの抱負を抱き、気持ちを新たに前へと進んで行っているのだろう。
私は。
「はぁー……」
抱いた抱負はどこへやら……。
最早何度目になるのか定かではない程の溜息の数。冴えない表情に、冴えない頭。ベッドにうつ伏せになって、ただただ無気力にその身体を投げ出して、笑う事を忘れてしまったかのように見るも無残にその風貌は衰えていた。
「はぁー……」
晴れない、心。
特に何かあった訳ではないのに。強いて言うなら、疲れたのだ。
多忙な日々を送っているわけではない。考え過ぎて、悩み過ぎて、精神的に疲れてしまった。
優人とメールを始めて、もう七ヶ月になる。
仲良くなって来てはいるし、先月は電話もした。進展しているではないか、と周りには言われそうだけど、私は優人の気持ちが分からなかった。
冬休みが終わり、部活が忙しくなり、最近の優人は疲れてすぐに寝てしまう。
全国大会への出場を果たせるか否かの試合が来月行われるらしいから、最近は特に厳しい練習や日程が組まれているのだろう。
分かってはいる、分かってはいるのだけれど……。
話せる時間もメールの回数も確実に減った今の現状に、不安になって落ち込んでいるのだ。
そんな不安の所為なのか実際にそうなのかは分からないけれど、優人のメールも何だか素っ気なく感じてしまう。それが寂しくて切なくて、どうしたらいいのか分からず、こうして悩んでいる。
――行く人いないから。
脳裏に蘇る、優人の言葉。
そんな事を言っておいて、それからの素っ気ないメールは何なのだ。分からない。優人が、分からない。
この先どうしたらいいのだろう。どう頑張ったら届くのだろう。その前に、好きで居続けてもいいのだろうか。このまま想い続けて、いつか叶うのだろうか。
「はぁー……」
溜息をついて、両腕を枕の上で交差して組み、その上に顔を埋めた。
優人が好きなのに、ずっと好きでいたいのに、不安が消せない。
優人は何を考えているのだろう。その心に何を、誰を見ているのだろう。そして自分は、彼にとってどんな存在なのだろう。ただのメル友なんだろうか、ただの話し相手なのだろうか……。
優人からメールが来た事は、未だに一度もない。それが優人の答えだと、もう示されているのでは……ないだろうか。好きになってくれているのなら、少しくらい自分からメールを出そうと思うのでは? 好きなら話したいと思うのが普通だろう。
何を基準に「普通」と言うのか、それは分からないけれども、それすらしないという事は……、
「……好きじゃない、のかな……」
――――いっその事。
メールを、止めてしまおうか。そうすれば、私達の繋がりはなくなって、自然に関係は切れるのだ。
涙が、零れた。
そんな事、出来るわけないのに。そんな事して平気でいられる程に、簡単に忘れられる程に、この想いは単純で薄っぺらなものではないのに。
こんなにも、好きになってしまっているのに。
……どうして優人がいいのだろう。どうしてこんなに好きになってしまったのだろう。優人が分からない。けれど、自分自身すら分からない。
好きなのに、大好きなのに。
好きな気持ちなんてなくなってしまった方がいい、なんて思ってしまう。
無理なのに、大好きなのに。
けれどこれ以上、もうどうしようもないくらいに気持ちが溢れて、辛い想いをするなら、今この時点で終わってしまった方が楽なのではないだろうか。
「……」
私は伏せていた身体を起こし、ポロポロと流れる涙を袖で拭った。
――――でも。
脳裏に浮かぶ、優人の笑顔。微笑んでくれた、優しい声。
忘れられるわけがない。この想いを終わらせる事など出来るわけがない。
優人が好きだ。誰よりも何よりも。優人しか要らない。
辛いから忘れよう、うんそうしよう、なんて言って出来る事ではない事を自分が一番知っているのではないか。自分の気持ちは自分が一番よく分かっている。自分の事を自分で分かってあげなければ、誰がこの気持ちを分かってくれるだろう――。
自分自身すら分からない者に、他人の心など分からない。だから、自分自身を知って初めて、他人の心が見えてくるのだ。
自分の気持ちくらい、きちんと聞いてやろう。素直な感情を、たとえそれが矛盾していたって。全部全部、聞いてやろう、受け止めてやろう、受け入れてやろう。
そうすれば、他人の心も見える、そんな風に思えてくる筈だ。
優人の気持ちを知りたければ、まず、自分の気持ちに敏感にならないと。
辛くて悲しくて不安になるのは、好きな証。
私はまだ。
――――頑張れる。
これから先に何があるのかなんて誰にも分からない。想い続けていても叶わないかも知れないけれど、もしかしたら叶うかも知れない。それは誰にも分からない事なのだから。
可能性は、ゼロじゃない。
それならこの道を真っ直ぐに歩いて行くだけだ。確かな想いがあるなら、ただひたすらに歩くだけ。迷う事など、何もない。
優人が。
――――好きだ。
涙を拭って、心の中ではっきりと告げた。
確かな想いを感じるのなら、迷う事など、何もない。
ただひたすらに、歩いて行くだけ。