しだれ桜の木の下で
「ハァ……ハ、…ハァ………」
10分も走り続けてようやく見えたしだれ桜。
膝に手を置いて呼吸を整える。
「…はぁ、はぁ、はぁ…………フーッ」
もう大丈夫かと顔をあげて見据える。
いた。
しだれ桜の枝に座ってる。
私は勇気を振り絞って足を踏み出した。
一歩踏み出せば、あとは自然にもう一歩、二歩と足が進んでく。
姿がハッキリと見えるようになった頃には、あいつ——翔も私のことを見ていた。