しだれ桜の木の下で
「こんな遅くにどうしたの?」
生前と全く変わらない飄々とした態度で私に尋ねてくる翔。
「それは、こっちの台詞。 なんで深夜に木登りしてんのよ。 あんたは」
目をパチパチとさせると、翔は悲しそうに笑った。
「ここ以外に行けねぇんだもん」
その答えに、胸がチクンと痛んだ。
「ねぇ……翔?」
「何?」
何で私は答えのわかってる問いをわざわざ聞くんだろ…。
「翔の隣に行っていい?」
翔が笑ったのが答えだった。
私は体をうまく使って、あっという間に翔の隣に腰掛けた。