しだれ桜の木の下で
「おっ、早かったな。 さっきチャイムなったばっかだろ?」
「掃除とか全部サボってきたからね」
「駄目だろーが、それじゃ」
呆れたような笑みを浮かべた翔はどこか嬉しそうでもあった。
「翔だってしょっちゅうサボってたの、私知ってるんだからね?」
「いや、俺の場合は許可もらってたから」
ニヤッと笑ってから続ける翔。
「病院行かなきゃなのに、掃除してる時間なんか無かったからな」
「あ、そっか」
翔は幼い頃から心臓を患っていて、度々入院していた。
時にはひどい発作が起きたり、手術を受けたりしてたけどそれでもついこの前まで耐えてきた。
いろんな辛さに耐えて。
一生懸命生きてきたんだ。