しだれ桜の木の下で




「今回デカイ発作がきてさ……しかもそれが夜中だったから、救急車呼ぶ前に心臓止まっちまってさ」




私は黙って翔の横顔を見る。


自分に起こった災難を、まるで他人事のように淡々と語っていく。




「ドンマイって感じだよなww」




笑って私の方を見る。


ここで私に振るのか、その話題を。




「ま、運命だったんだろうな……」




呆気からんという翔の姿がいたたまれなくて、曖昧に笑って誤魔化した。




「そうだったのかもね…」




って。




すると翔は笑った。




翔は心の底からの笑顔を浮かべたらしかったが、私にはただ悲しい顔にしか見えなかった。




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