しだれ桜の木の下で
「今、ここにいるのは“翔”という人間の残留思念であって“翔”じゃない」
翔は無表情のまま私の顔を見た。
「“翔”はもういないんだ」
それは私の胸に深く突き刺さった。
まるで氷で出来た剣に心臓を貫かれたかのような感触。
翔の口はまだ止まらない。
「そんな俺が会いに行って何ができる? ただあいつらを悲しませるだけじゃねぇか。 もう俺はいないって実感させるだけじゃねぇか!」
その言葉一つ一つに翔の愛情が込められていて、
「それに悲しんでいるあいつらを見て俺は何を思えばいい!? ただ、あいつらを悲しませたのは俺だと思うしかねぇじゃねぇか!!!
————私は自分の犯してしまった過ちにひどく後悔した。