しだれ桜の木の下で
✿あと6日
学校の裏に人知れず小さな池がある。
その池の向こう側の枝垂桜の下が彼の特等席だった。
いつもその下にポツンとあるベンチに寝転がっていた。
学校をさぼっている時は、十中八九そこにいた。
病院を抜け出した時は必ずそこにいたと言っていい。
それぐらい彼のお気に入りの場所だったのだ。
そこは。
だから、必死に足を動かす。
絶対そこに翔はいるはずだから。
いないはずがないから。