しだれ桜の木の下で




翔はそれを聞いて、今までにないくらい幸せそうな顔をした。




「…………俺ってさ、本当は10歳までの命って言われてたんだよ」




初めて聞いたことに目を見開いた。


知らなかっただろ?と言われて頷く。




「それをあの日まで生きてこれたのは、綾と…綾との約束のおかげなんだよ」


「え………?」


「俺はいつかいなくなる人間だから、俺の気持ちでお前を縛りつけちゃいけないって思ってたんだ」




……だから言えなかった。




翔は泣き笑いみたいな顔でそう言った。





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