しだれ桜の木の下で




話を聞くと、あの日突然家から飛び出した私のせいでパニック状態になったらしい。


それでお父さんを叩き起こして、近所の人にも協力してもらって近所を探してみたけど見つからず、捜索願いを出そうとした時に私が帰ってきたらしい。




そんなことになってるとは知らなかった私は1人顔を青くした。




「退院したら、謝りに行くのお母さん手伝って」


「別にいいって言ってたわよ」


「ふぇ?」




驚いて変な声が出る。




「お礼をしようとしたら皆さん別にいいって」




近所の方達に綾ちゃん好かれててよかったわね。




そう笑ったおばさんは笑顔だった。




「でも……やっぱりお礼しに行きたいから」




そう言うとお母さんとおばさんは顔を見合わせて笑った。





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