しだれ桜の木の下で




「ん? じゃあ、あいつって誰…?」




そう尋ねられた時脳裏には翔の最後の言葉が浮かんでいた。



あの時翔は私に言ったの。





『お前が幸せになったら、俺はきっとお前の前に現れるから』





って。




裕樹との間に子供が出来て、顔を見た時思わずあっと声を上げた。




その顔があまりにも翔に似ていたから。




「翔がどうかしたのか?」




首を傾げる夫を見て微笑む。




「内緒」


「………何だよ、それ」




裕樹は飽きれた声を出したけど、顔は笑ってた。





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