餞の言葉

納得はできないけど、否定をするには根拠が足りなかった。


だって、あの間際に確かにあたしは怖いと思ってしまったんだもの。


結局、あたしにできることは頷くことだけ。

先生の脇をすり抜けて教室を出る。

先生は一度だって振り向いたりしない。

わざと音が立つように荒々しくドアを閉めて、あたしは走り出した。


廊下は走るなって言われたって知るもんか。

悔しい。
悲しい。

あたしは本気なのに。

先生が、好きなのに。


……どうしてあたしは子供なんだろう。


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