餞の言葉
翌日の卒業式は、あいにくの雨だった。
まるであたしの気分を代弁してくれているようでおかしくなる。
いつもはだらしなく制服を着崩してるあたしたちも、この日ばかりはきちんと襟をしめる。
校長の長い話も、本当に長い証書授与もなんとか終わり、別れを実感し始めて涙目になったあたしたちは教室へと戻る。
これで本当に最後なんだ。
高校を卒業する。
あたしは短大への進学が決まってる。
新しい世界が、あたしを待ってる。
だけど、……ねぇ先生。
あなたのことだけが、やっぱり心残りなんです。