餞の言葉


「これから君たちは、就職するものもあれば進学する者もある。いずれにせよ、今よりは広い世界で生きていくことになるんだ」


そう言うと、先生はメガネをはずした。
深い茶色の瞳が露わになって、あたしの心臓が揺さぶられる。

やっぱり。
やっぱり好き。

これって絶対ただの憧れとかじゃない。


「大人への一歩を踏み出す。そう、皆に言われていると思う。
だけど、18歳は日本の法律では子供だ」


日本国憲法では成人は20歳から。
そんな事分かってる。

だけど、そんな年齢で線引きされたって困る。

その2年が足りないから、あたしは子供扱いされてるの?
こんなに好きなのに?


あたしの気持なんかお構いなしに、先生は壇上で語り続ける。

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